NPO法人ぐんま緑のインタープリター協会紙

協会紙表紙

新年号 第54号 2017年1月10日


「美しいふるさと基金」について

  株式会社サンワ 総務課 榎本 亜郷

  私たち株式会社サンワは、燃料油や潤滑油及びLPガス等、化石燃料販売をコアビジネスとし、2016年からは東京電力エナジーパートナーと提携して電力販売を開始したエネルギー総合商社です。
  「美しいふるさと基金」とは、弊社が創業55周年を記念して設立した緑の植栽活動の為の基金です。地域に根を下ろした地域共生のエネルギー会社として、「美しいふるさとを次世代の子供たちに残したい」という思いからこの基金を創設し、自然保護活動や緑豊かな地域づくりをサポートしています。地球温暖化に影響を及ぼす化石燃料を販売している企業だからこそ、自然保護活動に力を注がなければという思いを持っています。
  現在の活動状況は、主に「ぐんま緑のインタープリター協会」への寄付と「粕川フラワーロードの会」への寄付並びに植栽を中心として活動しています。「粕川フラワーロードの会」の方々との植栽は、弊社の新入社員が地域の皆様と共に汗を流し、毎年新入社員から新入社員へバトンタッチする「つながりプロジェクト」として2014年から活動し、弊社で取り扱っているオリーブの苗木を植栽しています。若い社員がその次の世代へ緑豊かな地域を残す活動を通じて、社内のつながりを深くする機会としても捉えています。また2003年には環境マネジメントシステム(ISO14001)を認証取得し、環境理念や環境方針に基づいた企業活動を行い、全社をあげて環境負荷の低減に取り組んでいます。
自然体験活動の写真   弊社は昨年創業70周年を迎え、「安心な暮らしと、ワクワクする未来を。」を新たなビジョンとしました。地域の皆様に安定的なエネルギーを供給することで安心して暮らせる地域を創り、環境にやさしい商品を地域の皆様に提供することでワクワクする未来を創りたいと思います。
  これからも「美しいふるさと基金」を通じて、地球環境や自然保護の大切さを全社員が認識し、省資源と省エネルギーを追求し、環境負荷の低減に努めていくことがエネルギー供給の一役を担う者の責務と考えます。

このページの先頭へ

野菜や果実は寒さにさらすとなぜ甘味が増すのか

  顧問  亀井 健一

   冬期気温が低くなると道路が凍結する恐れがあるので、凍結を防ぐために塩化カルシウムを道路に撒くことがあります。水冷エンジンなどに使う不凍液は、水に適量のエチレングリコールやグリセリンを混ぜたものです。自家製アイスクリームを手軽につくる場合、冷却材として氷水に塩分を加えた水溶液を使います。水の凝固点は0℃ですが、水によく溶ける物質(しかも揮発性のない物質)を溶かすと、その濃度に応じて水溶液の凝固点が0℃より低くなります。この現象を凝固点降下と呼んでいます。当然ながら水に糖分を溶かしても同じ現象が起こります。以上のことを頭に置いておきましょう。
  秋から冬期に収穫する野菜の白菜、キャベツ、ニンジン、ネギ、ホウレンソウ、ダイコンなどは、霜に当てたり雪の中に保存したりすると、糖度が2〜3倍に上昇することが知られています。糖度が10度ぐらいになります。
寒締めホウレンソウの写真   たとえば、「寒締めホウレンソウ」と呼ばれる野菜があります。これをつくる1つの方法は、フレーム栽培のホウレンソウを冬期の一定期間、フレームの窓や入口を開け冷気にさらします。すると、葉は縮み肉厚になり、糖分が上昇し、ビタミン類などの濃度が増すのです。味が格段によくなり、栄養価も高くなります。近所の全農ぐんまで、「ちぢみほうれん草」の名で販売されていたものは、みてくれは悪いが甘味があり美味しかったです。参考までに「ちぢみほうれん草」を出荷しているJA邑楽館林に聞いてみました。「露地栽培のちぢみほうれん草は、糖度は8〜15度になります。1〜2月が最も糖度が高まります。イチゴと同等ぐらいになります。ハウスやビニールの覆いの中で栽培したものは、糖度はこの半分ぐらいです。」とのことでした。
  なぜ、そのような現象が起こるのでしょうか。植物の細胞は寒さにさらされると、凍るまいとして細胞内の澱粉などを水に可溶な糖分に変化させ糖分濃度を高めます。糖分濃度が高まれば凝固点降下が起こり凍らなくなります。細胞が凍れば細胞が破壊され死んでしまうので、自衛のための変化が起こるのです。生きている細胞の自己防衛です。
  生命は実にたくましく合理的にできています。なお、澱粉は水に不溶性なので、いくら含まれていても凝固点降下に寄与しません。
  写真 寒締めホウレンソウ

このページの先頭へ

<協会に対する支援>

  10月7日(金) 株式会社サンワ「美しいふるさと基金」遠藤宗司様より運営資金として30万円ご寄付いただきました。

このページの先頭へ

<緑の窓> たろっぺ じろっぺ

  第9期生 大澤 ひかる

たろっぺの写真   ずいぶん前のことであるが、タラの芽を採り、帰った主人とこんな会話をした。 「なぁなぁなぁ、明日、会社の若ぇ奴らの分もで、天丼4個作ってくれる?」「いいけど...。半分くらい、くるみ合えでもしようかと思ったんだけど...。」「なら、そっちは、じろっぺでも採ってきた時、作れば。」「え?じろっぺ?」「2番の芽さ!香りと味は落ちるけどナ!」「じろっぺなんて初めて聞いた!」「そうだっけ?」「1番の芽だから、たろっぺ(太郎)なんだ〜?じゃぁ、さぶろっぺ(三郎)とかしろっぺ(四郎)とかも言うの?」「知らん!」父も群馬出身だったので、「たろっぺ」と呼ぶことは知っていたが「じろっぺ」は主人が言ったのが初耳!。さらに前の春、タラの芽を料理しながら、「トゲトゲしいのとスベスベなのがあるなぁ」と、人に聞いたり、食材図鑑で調べたりしたら、雄木・雌木というわけではなく個体差らしいと知った。そして、そのスベスベの方が、栽培されて店頭に並んでいるということも知った。
ブートニアの写真   この数年、主人の病気療養を家族で支えていた期間で庭仕事すらできなかったが、息子の結婚式の時、ブーケ・ブートニアは一生懸命作りました。元々、手芸や工作が趣味でインドア派の私にとって、協会事業への参加や、主人と一緒に出かける山菜採りくらいがアウトドア活動なのだなと、しみじみ思う。福島原発事故後の山の幸を避けなければならなかった期間と、主人と山菜採りに行けなかった期間が続いたが、この秋から通常生活に戻れた主人と、来春からは山菜採りに出かけられるかな、と楽しみにしている。
ブーケの写真   有識で熱心な協会員の方と比べ、私って何も知らないなぁと落ち込むこともあるけれど、「タラの芽」ひとつとっても、調べて得る知識、人から伝授される知識を、楽しんで生活している。
補足:じろっぺ(第2芽)は、採りに行っていません。生長を妨げる行為は、さすがにね!

このページの先頭へ

<豆知識> 雑草の話 4

 理事長 関端 孝雄

  今回は、水田に目を向けます。9月上旬、イネの穂も大分大きく伸びて一面背比べをしていました。そんな中に、一部丈の低い不揃いなイネの株達がありました。覗いてみると株の脇に青紫色の花を付けたコナギが隙間なくびっしりと茂っていました(図1)。これがイネの根元で窒素養分を横取りしていた主のようです。
コナギの写真   コナギは、ミズアオイ科の1年草で水田雑草と云われます。茎の先に1枚のハート型をした葉を着け、葉柄の基部から短い総状花序を出します。花には6本の雄しべがあり、その内5本は葯が黄色です。これが虫を誘う?でも、訪問者がいなければ自家受粉をするなど閉鎖花も用意しています。水流で運ばれた多量の微細な種子は冬の寒さによって目覚め春に発芽します。その際無酸素の状態が必要とか。種子の生産と水への散布に徹しているようです。この近くにもう1つ別な群落を見ました。ウキアゼナ(図2)です。こちらも水面が見えないほど繁茂していました。
ウキアゼナの写真   ウキアゼナはゴマノハグサ科の1年草で浮葉植物。北米原産で熱帯魚用の水草として輸入された模様。茎は節から浮葉と根を出し、内部には通気組織があります。葉は対生で柄がなく広倒卵形で厚みがあります。1日花で、白色の花冠は基部が黄色、先は5裂しています。萼片、雄しべは共に5個。雌しべの柱頭は2分しふくれています。刮ハは萼片に包まれ多数の種子を入れており、種子はそこで越冬します。周囲にこの他、タカサブロウ(キク科)、オモダカ(オモダカ科)、ヒメミソハギ(ミソハギ科)、ミクリ(ミクリ科)、アゼガヤツリ(カヤツリグサ科)などが見られます。10月中旬、稲穂が充実して頭(こうべ)を垂れていました。ある田んぼでは一段と背の高いタイヌビエがイネ越しに生えていました(図3)。タイヌビエは、イネに形態を擬態したイネ科で水田の最強害雑草と云われます。特に生育中はイネと見分けが困難。葉は淡緑色で葉辺が堅く白っぽく見え、立っています。イネには葉舌がありますが、これにはありません。
タイヌビエの写真   タイヌビエはイネより遅く発芽しますが、イネの穂が充実する頃、タイヌビエの茎はイネより高く抜きん出て穂を付け、イネの収穫前に実を田に落とします。耕作物は果実を落下させないように改良されて来ましたが、雑草はこれらを速やかに放出させるのが特徴です。



(写真 上から図1:コナギ、図2:ウキアゼナ、図3:タイヌビエ)

  なまぐさし 水葱(こなぎ)が上の 鮠(はえ)の腸(わた)    芭 蕉

このページの先頭へ

<哺乳類の話> 第8回  生物多様性とヒト 

 群馬県立自然史博物館学芸員  姉崎 智子

   2年間にわたり、哺乳類の食性や行動時間、生存曲線、誘因物が野生動物に与える影響、特定外来生物についてご紹介してきました。最後は、生物多様性について少し考えてみたいと思います。

  ご存じのとおり、「生物多様性」とは、地球上にいるバラエティに富んだ生きものたちと、その命のつながりのことです。地球が誕生してから約40億年という長い時の流れの中で、たくさんの命が誕生し、死んでいきました。過去5回の大量絶滅を経て、変わりゆく環境の変化の中、生き残り、現在、地球上では、様々な生態系に存在する生物種(既知)が約175万種と考えられています。わたしたちヒトも、その1種です。
  このうち、日本で確認されているヒトをのぞく陸生哺乳類は107種、群馬県で確認されている哺乳類は49種です。2012年の群馬県レッドデータブックの改訂により、絶滅危惧IA類が0種から3種に増え、トガリネズミやコウモリ類など小動物の絶滅の可能性が高まっていることが明らかとなりました。

  危機が高まる大きな要因は、開発、伐採・植林、環境改変など、生き物たちが生息する「場」が失われることです。一見、「緑」豊かにみえる森林ですが、人為的な環境改変が広く生じており、生き物たちは生息可能な場を求め移動します。そして、野生動物と人間が暮らす範囲が重なれば重なるほど、不幸な出会いが生じることになります。とはいえ、わたしたちは、身の回りにある自然環境に対して、どのように認識しているでしょうか。
  群馬県が毎年行っている県民意識アンケート(H28年度・広報課)によると、群馬県民は「水・空気・自然環境」(きれいな水や空気が保たれ、自然環境が良好なこと)の施策に対して、重要度は3位、満足度は1位でした。回答した1664人のうち、1098人(66%)が、本県の自然環境等に満足していることがうかがえます。ここに、絶滅の危機に瀕している種、あるいは、絶滅してしまった種が増えているけれど、一般の方々は、群馬県の自然が豊かで、満足しているという現実があります。
  さきほど、ヒトの営みの結果、多様な生き物たちの生息域が奪われ、絶滅の危機が高まっていると述べました。この話をすると、「特定の種が絶滅したからといって、なにが悪いのか」という発言を投げかけられることがよくあります。たしかに、特定の種が絶滅したからといって、自分にみえるかたちで、重大な支障がすぐに起きるものではないかもしれません。地球の生態系という巨大なシステムが持つレジリエンスが多少はカバーしてくれます。
  しかし、生物多様性が失われていくことは、家を支える柱が1本、また1本となくなっていくことと似ていて、「掘立て小屋」の喩えとして知られています。「掘立て小屋は、大きな柱、小さな柱などでできている。柱を一本、二本取り去っても、小屋が即座に倒れることはないが、台風や地震には確実に弱くなっているだろう。次から次へと柱を取り去っていけば、やがて小屋は傾き、倒壊してしまう。」(湯本貴和2013:biocity 56号より引用)。

  現在、地球は6度目の絶滅の危機に直面しているといわれています。過去5回の大量絶滅は、自然現象によるものでしたが、6度目はわたしたちヒトが引き起こしているものです。生物の多様性が高ければ、大きなインパクトがあったとしても、一部は絶滅からのがれ、再び繁栄することが可能かもしれません。しかし、多様性が低ければ、どうでしょうか? 生態系における命のつながりあいにおいて、わたしたちに見えているのは、ほんの一部分にしかすぎません。「私たちは、自然のしくみについて、実のところ恐ろしいほど無知なのだ」とは、カナダの生物学者、デヴィッド・タカヨシ・スズキの言葉です。

  自然史博物館は、これからも多種多様な生き物たちのつながりあいの現状を客観的に把握し、多くの方々と共有化し、皆様方とともに取り組んでいきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

このページの先頭へ

<協会員の声> 「アッ! ハー」

第13期生 高橋 守男

  一昨年養成講座を修了した時は、人前で話したり解説するなど思いもできませんでした。しかし、何時かは先輩の方々のようになれたら、近づけたらと憧れもしました。昨年は14期の「大人のための自然教室」を手伝いながら、再度講習に参加してみましたが、知識はさほど増えず、頭の中が整理されたとも思えないまま過ぎました。今年をどう過ごすか考えている中、「インタープリターとして人前で話しながら勉強は続けるんだよ」の先輩の言葉に後押しされて、前橋市の中学校の野外活動での自然体験のお手伝いを始めた次第です。
  今年の私の担当は「光と植物」で、覚満淵西側のミズナラ・ダケカンバ・ウラジロモミ・カエデ・ササの林の中で4回話しました。中学生が熱心に聴いてくれインタープリターとしてデビューできたと思える反面、私の説明が彼らの好奇心に深く刺さらない未熟さを感じました。
  中学生に話す中で感じたのは、2年前に養成講座に参加した自分自身が、初歩さえもわからない、解らないことが解らなかった時の気持ちを忘れず、わかり易く話を組み立て伝えることの大切さです。
  新しいことが解った時の驚きと喜び、「アッ、ハー、そうだったのか」体験をしてもらうことが、解説の原点と思います。そのためには、自分自身も「アッ、ハー」体験を持ち続けるために、好奇心を持ちながら日々の勉強を続け、この会の講習会にできるだけ参加することが不可欠と感じています。これからも宜しくお願いします。

このページの先頭へ

<編集後記>

  新潟県の火打山。地球温暖化の気温上昇でハイマツ群が減り、ライチョウが24羽までに減少し、地域的な絶滅の危機があるという。押し寄せる気温上昇の波は自然界にも、人類にも絶滅への序曲のようである。年の瀬に思う憂いは編者だけだろうか。(久保田憲司)

<pdf版>

協会紙 平成28年度新年号 第54号 pdf版

協会紙 平成28年度秋季号 第53号 pdf版

協会紙 平成28年度夏季号 第52号 pdf版

協会紙 平成28年度春季号 第51号 pdf版

協会紙 平成27年度新年号 第50号 pdf版

協会紙 平成27年度秋季号 第49号 pdf版

協会紙 平成27年度夏季号 第48号 pdf版

協会紙 平成27年度春季号 第47号 pdf版

協会紙 平成26年度新年号 第46号 pdf版

協会紙 平成26年度秋季号 第45号 pdf版

協会紙 平成26年度夏季号 第44号 pdf版

協会紙 平成26年度春季号 第43号 pdf版

協会紙 平成25年度新年号 第42号 pdf版

協会紙 平成25年度秋季号 第41号 pdf版

協会紙 平成25年度夏季号 第40号 pdf版

協会紙 平成25年度春季号 第39号 pdf版

協会紙 平成24年度新年号 第38号 pdf版

協会紙 平成24年度秋季号 第37号 pdf版

協会紙 平成24年度夏季号 第36号 pdf版

協会紙 平成24年度春季号 第35号 pdf版

協会紙 平成23年度新年号 第34号 pdf版

協会紙 平成23年度秋季号 第33号 pdf版

協会紙 平成23年度夏季号 第32号 pdf版

協会紙 平成23年度春季号 第31号 pdf版

協会紙 平成22年度新年号 第30号 pdf版

協会紙 平成22年度秋季号 第29号 pdf版

協会紙 平成22年度夏季号 第28号 pdf版

協会紙 平成22年度春季号 第27号 pdf版

このページの先頭へ

Copyright © 2010 NPO Gunma Green Interpreter Society. All Right Reserved.
2010年11月1日更新
inserted by FC2 system