NPO法人ぐんま緑のインタープリター協会紙

協会紙表紙

秋季号 第57号 2017年10月9日


群馬県緑化センターのご紹介

  群馬県緑化センター所長 佐藤 博

観察会の写真  群馬県緑化センターは、1983年(昭和58年)に開設され、今年で34年目を迎えました。また、1998年(平成10年)には隣接するエリアに、平地林としての県立森林公園「おうら創造の森」を造成し、2013年(平成25年)からは「緑化センター附属見本園」と名称を変え、センターと一体的に管理しています。

 当センターは、県民の皆様に対して緑化思想の普及啓発、緑化技術の指導、森林環境教育等を実施するとともに、市町村の緑化関係業務担当者や緑化関係業界の皆様に対して、緑化情報の提供や技術支援を実施することを主な目的として運営しています。

 メインとなる業務は、各種の緑化講座や森林楽習講座の開催です。身近に緑があること は、生活に潤いと安らぎを与えてくれます。一方で緑は生き物ですから、健全な状態で維 持管理するには、手間をかけ愛情を注ぐことが必要です。そこで、講座では年間を通して、 それぞれの時期にやっておきたい庭木の手入れ方法や、果樹や野菜の育て方などをわかり やすく解説して、それぞれの植物が健全に生育できるような技術を身につけていただくた めのお手伝いができるよう努めています。

 講座は、基本となる「緑化講座」、日曜日に開催する「日曜緑化講座」、出向いて行う 「出張緑化講座」があり、広い地域の多くの方が参加しやすいように工夫しています。
 これらの講座の講師は、樹木医や造園関係の技術者、それぞれ得意とする植物の研究家など、技術と専門知識をお持ちの方々ですので、参加者からは毎回好評をいただいております。また、森林環境教育の視点から開催する「森林楽習講座」では、附属見本園をフィールドとして、樹木の生態のおもしろさや森林の仕組みを学んだり、木の実や枝などで工作をしたり、カメラを使って森の風景を切り取ったりと、いろいろな切り口から楽しんでもらっています。この講座は年間計画に組み込んであるものに加え、小学校等から依頼を受けて開催するものもあります。

 駐車場からすぐ森に入れるという利便性が有るので多くの方に、このフィールドをご利用していただきたいと思っています。

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校庭の樹木B 文明開化のシンボルとされたヒマラヤスギ

  顧問  亀井 健一

  太田市生品中学校を訪れたときのことです。校庭に並ぶ大きなヒマラヤスギに思わず見入ってしまいました。この木は、学校、公園などに多い樹木です。多く植えられた理由など話題を探ってみましょう。

ヒマラヤスギの写真  本種は、樹形が端正な円錐形で、天を衝くような高木になり、大変目立ちます。樹高25m、高さ1.3mで直径1mを越えるぐらいになり、広い敷地に似合います。しかし、落枝や倒木を心配し、枝や幹を詰められ、多くの木は本来の樹形が失われています。
 原産地は、ヒマラヤ山脈北西部からアフガニスタン東部で、英語名はHimalayan Cedarです。これをヒマラヤスギと訳したのは適切ではありません。スギ科ではなくマツ科であることは、葉や球果を見れば一目瞭然です。原産地では建築用材として使われ、材から取れる精油は、芳香があり、ヒンドゥー教では聖なる木として崇拝されています。

ヒマラヤスギの写真  ヒマラヤスギは、マツと同じように雌雄同株、雌雄異花の常緑針葉樹です。花期は10〜11月で、雄花(雄花の花序)は長さ2〜5cmのキツネの尾のようで、多量の花粉を放出します。放出が終わると枯れて落ちます。受粉した松ぼっくり状の雌花は、翌年の秋以降に成熟した球果になります。球果は非常に大きく、長さ6〜13cmの卵形です。やがて球果は種子を抱く種鱗が軸から離れて、ばらばらに落下します。なお、雄花と球果は大きいので、それぞれの時期に、少し注意して見るとすぐにわかります。

ヒマラヤスギの写真  上原敬二著『樹木大図説』によると、明治12年(1879年)頃に、横浜の外国人居留地に住むイギリス人のヘンリー・ブルックは、輸入した種子から育てた苗木を横浜の山手居留地一帯に植えています。これが、日本最初のヒマラヤスギです。続いて皇居に献上し、新宿御苑に多数提供しています。先日、新宿御苑で最も大きい木を選んで測ったところ、高さ1.3mで幹周約4.7m(直径約1.5m)ありました。樹齢140年ほどでこれだけの大きさに成長しています。文明開化のシンボルのように思われ、公園、学校、役場など公共施設に多数植えられたとのことです。欧化政策を進める明治政府の後押しがあったようです。

写真 上から生品中学校のヒマラヤスギ、雄花、球果

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<緑の窓> 癒しの森への思い

  第1期生 六本木 太

癒しの森の写真  皆様より、「癒しの森はその後いかがですか」と聞かれます。思っていて下さると思うと有り難く嬉しい限りです。そこで、最近の森の様子を少しお知らせしたいと思います。

 25aの土地に、それぞれの思いの中で植えた100本以上の木々も幾本か枯れましたが、元 気に育っております。最も花の量が多いと言われるハクウンボク、中間山地で大きな働きをしている先行樹種のアサガラ、健康のシンボル、メグスリノキ、赤城南面で最も野鳥が好むと言うナツハゼ、薬酒として欠くことの出来ないサルナシ・マタタビ・カリン・ザクロ等が在ります。ヤマブドウで作るブドウ汁は食卓には欠かせません。豆柿は丸干しにして一年中頂いております。ミカン類も、一本でダンボール箱一箱も採れる木が三本にもなりました。11種類植えたブルーベリーも豊作で、生食とジャムにして頂いております。仲間の集まりでは、イチジクをその場でジャムにして、自家製パンで美味しく頂きました。赤く実った二個のリンゴは、食べると言うよりも見て楽しんでいます。

 入り口には、筑波山で自然石の灯篭を見つけ据え付けました。森の中には、東屋とともに樹齢250年と言われている欅の大木を立て、癒しの森のプレートを付けてメインポールとしました。

癒しの森の写真 この森は、薬万能の世にあって、安心・安全の森であることを願い、除草剤・消毒剤は一切使っておりません。年5回の下草刈も大変ですが、健康法としては最高のようです。 妻はお茶を持っては東屋に来て楽しんでおります。野鳥たちが遊びに来るのも、薬を使っていないことを知っているからかもしれません。妻はその野鳥たちを眺めながら、「庭先の癒しの森の野鳥たち、何を囀る恋の季節か」と詠んでおります。

 私もすばらしい緑、美味しい空気、多くの果物、遊びに来る野鳥たち等々、多くの恵みを与えてくれる「癒しの森」で生きる喜びを感じながら余生を送りたいと思っております。

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<豆知識> 雑草の話 7

 理事長 関端 孝雄

 前回に続いて、形態の似ている雑草を取り上げます。

雑草の写真 雑草の写真  県立観音山ファミリーパークの自然の森へ入ると、つる植物のヤマイモ科で雌雄異株のオニドコロ(@、図1)とタチドコロ(A、図2)が通路脇に現れます。@はトコロとも云いますが、何とか両者を立ち所に分かる方法はないものかとじっくり観察。Aでは、茎が初め直立して伸びるからと言いますが、もう少し茎の下方を見ると葉が4,5枚輪生する特徴があります。

 互生するハート型の葉について:@は、薄くて全縁で綺麗な円心形をしており、噛んでみるととても苦いです。Aは、堅くて側方中央部がややくびれ、そのしわ寄せとしてか縁に波状の鋸歯があります。

雑草の写真  雄花について:@は、7〜8月に開花し、花軸から数個をつけた小花に分かれていて、花柄があります。花弁の先が気持ち尖った淡緑色、雄しべは6本です。Aは、6〜7月に開花、まばらに分枝した穂状花序で、花柄はありません。花弁の先が丸く黄緑色、雄しべは3本が葯持ちの本物で、他の3本は小さな仮雄しべです。(図3)

 刮ハ(図1)には3枚の羽がありその中に楕円形の種子が入っています。その種子について:@は種子の片方だけ鬼の角のような翼があり、Aは周囲にぐるりと翼があります。枯死しても実が何時までも茎に着いているので、良い特徴です。僅かな違いって気がつかないものです。

 同じ仲間に、カエデドコロ(B)やキクバドコロ(モミジドコロ)(C)等いくつかあります。両者も葉の形が似ていますが、Bの葉には毛があり葉柄の基部に1対の小突起があります。オタマジャクシが後足を生み出すかのように。Cの葉には毛がなく側裂片の先がより尖っています。

雑草の写真  本家のヤマノイモ(D)はジネンジョとも呼ばれ中国原産と言われるナガイモ(E)とそっくりです。両者、雑草ではないのですが同属なので記します。共に雌雄異株で、先の尖った葉を対生に着け葉腋にはむかご(珠芽・図4)を着けます。また、地中には茎とも根とも異なるいも(担根体)が毎年新たに形成されます。美味しく頂けるにしても掘り出すのに苦労します。雄花の花序は直立し白い球のような花を着け、6枚の花弁はほとんど開きません。つるである茎について:Dは緑色。Eは稜があり、葉柄と共に紫色のことが多い。Eの葉は時々3輪生になります。厚く光沢があって基部が耳のように張り 出しています。畑から抜け出さなければ判りが良いのですが。

すり鉢を押さえる子も揺れ とろろ出来   斉藤 一洗

(写真 上から図1:オニドコロ、図2:タチドコロ、図3:タチドコロの雄花、 図4:ヤマノイモのむかご)

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<群馬の自然災害>
 第3回 1,500年前の眠りから覚めた鎧を着た古墳人

 群馬地球温暖化防止活動推進センター長 中島 啓治

 「国内初、2012年11月19日榛名山北東麓で人骨発見!!」

 渋川市金井東裏遺跡は、榛名山の北東麓を通過して吾妻方面から長野県へ抜ける上信越自動車道の工事に伴い調査された遺跡です。榛名山の東から北東麓にかけての一帯は、6世紀初頭と6世紀中頃の榛名山大規模噴火の真っ只中の地域で、これらに伴う火山噴出物層の下には、多くの遺跡が存在することが予測されていました。

 この遺跡は、給源火口のあった榛名山二ッ岳から北東方向に約8.5qの距離にあります。榛名山北東麓の扇状地末端に位置し、東側は吾妻川によって開析された崖が形成されています。崖上の扇状地平坦部に集落と畑と古墳が存在します。

新聞記事  平成24年(2012)の11月19日、この遺跡で甲(よろい)を着た状態の男性が、6世紀の初めの火山噴火の直撃を受け、その犠牲になって屋外に倒れた状態で発見されました。甲を来た古墳人の着装していたものは、5世紀後半から6世紀初頭の関東地方において100m級の前方後円墳の副葬品の中に認められる品々で、渋川地域における上位階層の有力者とし て位置づけられ、遺構・遺物に朝鮮半島色が濃い点から、渡来系の人が関わっ ていると考えられています。

 この時期、榛名山は2回の大爆発を起こしました。6世紀初頭の1回目の爆発で火山灰が降り、その後、北東麓から南東麓にかけて火砕流が流れ下りました。灰色や小豆色のようなものが火山灰・火砕流で、50pほどあります。2回目の爆発は6世紀中頃で、2mちかくの軽石が降下しました。1回目の爆発でほとんど壊滅的な打撃を受けており、甲を着た男性、成人女性、赤ちゃん、幼児、甲、矛、鉄鏃、人の足跡、馬の蹄、畑、溝、道、祭祀、竪穴、平地、掘立柱等、の遺構群が出てきました。始めの降灰の時は人が歩き回っていますが、その後に火砕流が西から東にやってきました。甲の人物は火砕流に向かうようにうつ伏せになっています。火山灰でパックされたことにより、非常に良好な状態で情報が残っていました。歯のエナメル質の分析から、成人の男女は長野県伊那谷周辺で幼少期を過ごした可能性が出ています。

 火砕流の恐ろしさをあらためて教えてくれる遺跡です。

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<協会員の声> 針金虫に会った!

第13期生 原田 和子

 8月の「大人のための自然教室」講座の『水生昆虫について』に普及部会スタッフとして参加しました。受講者と一緒にあかぎ木の家近くの白川に入って「水生昆虫」の採集です。ところが浅瀬でくねくねと動いて、小さくて黒くて細長い紐みたいなものを見つけました、ありゃ、何だこりゃ?けったいなヤツ!

針金虫の写真  太さ1ミリの半分、長さ20センチぐらい(写真)。近くで講師が「寄生虫だよ、針金虫というんだ」と教えてくれました。私、こういう「怪虫」、大好きなんです。摘まみ上げたら絡まってきて、また水中に戻したら1本にほぐれました。

 家に帰って調べました。幼虫の頃、別な水生昆虫に食べられて、その昆虫を運よくカマキリが食べてくれて、そのお腹の中で一生を送るんだって。たまたま脱出して水中に居たのは産卵のため、てことは雄雌があるんだよね。わかんない、ゴメンね。うちのおじいちゃんは「小さい頃、カマキリ取ってお腹をコロコロすると針金虫が出てきたもんだ〜!」と言ってます。もう1度会いたい!いや〜実に面白い!

 昆虫に限らず自然に関する事をもっともっと知りたい!でも昆虫が一番好き。
 皆様、これからも宜しくお願いします。

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<編集後記>

 今年の夏は雨や曇りの日ばかりだったように思います。異常気象だったようですが、これがこれからたびたび起これば普通の現象になりますね。原因の追及は専門家にお任せするとして、私たちは起こりうる幅広い変化に対応する力を付ける必要がありますね。「起こる可能性のあることは起こる」です。(宇多川)

<pdf版>

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2010年11月1日更新
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